イジワルな彼の甘い罠
「はー、食った食った」
「美味しかったー」
そしてラーメンを食べ終えた私と航は、満足げな顔でラーメン屋を出て、近くの駐車場に停めてあった車へと戻ってきた。
普段はあんまり乗ることのない、航の黒いミニバン車の助手席に乗ると、染み付いたタバコの匂いで車内は埋め尽くされている。
「最初は文句言ってたくせにちゃっかりラーメン堪能しやがって。単純女」
「すみませんね単純で。けど珍しいじゃない?航がおごってくれるなんて」
笑ってシートベルトをしようとする私に、航は不意打ちでキスをした。
「……ラーメン代」
つぶやきながら伸ばした右手は、頬から首筋、胸元を撫で、座席にあるバーを引き背もたれを勢いよく倒した。