イジワルな彼の甘い罠
唯川早希、都合のいい30歳女。
遠野航、都合のいい30歳男。
私とこいつ……航は、遥か12年ほど前の高校時代、同じ高校の同じクラスだった同級生。
当時は俗にいうヤンキーみたいな、金髪にピアス、しょっちゅう喧嘩に喫煙に停学に……と問題を起こしていた航。そしてごくごく普通の、どちらかといえば地味な生徒だった私。
一度隣の席になったくらいで、よく話したとか遊んだとか特別仲がよかった記憶もない。
寧ろどちらかといえば、私は航の友達とのほうが仲よかった。
関わりもなくそのまま高校を卒業し、そして専門学校を経て就職。
SEとして就職したシステム系の会社は、社員のほとんどが男。けれどそんな中でも社内恋愛が始まることもなく、仕事仕事でどんどん男っ気が遠ざかるばかり。
そんな生活が変わったのは、23歳の時にあった高校の同窓会の日のことだった。