イジワルな彼の甘い罠
「やっ……」
その唇は、私の唇から首筋へと下り、肌に小さく吸い付く。
いつもなら、航なら、ここで丸め込まれて求めてしまうのに。
今はただ、嫌だ、その気持ちだけが強く。
やだ、やめて
言葉で言っても伝わらないのなら
「っ……やだっ……てば!!」
私はその声とともに、思い切り右足を振り上げる。
「うっ!!」
丁度膝は彼の腹部へと思い切り入ったらしく、突然そんな力強く蹴られるとは思ってもみなかったのだろう、彼は蹴られた所を押さえて痛そうにうずくまった。
その隙に、私は八代くんの体の下からするりと抜けだす。
「ごめん!また明日!!」
そんな彼にそれだけ言うと、バタバタと部屋を出て隣の自分の部屋に入り込んだ。