イジワルな彼の甘い罠
バタン!とドアを閉め、念入りに鍵とチェーンもかけると、真っ暗な部屋には自分の荒い呼吸だけが響く。
「……はぁ、はぁっ……」
い、今……一体なにが、
思い切り蹴っちゃったけど大丈夫だったかな
いや、それより、なにより
「……怖かっ、た……」
声に出した途端、体からは力が抜けてしまい、へなへなと床に座り込んだ。
八代くんのあんな顔、初めて見た。
力もすごく強くて……キスも、された。
『唯川さんのこと、ずっと好きでした』
そんな気持ち、微塵も気付かなかったよ。
押さえつけられた腕がまだ痛い。
見つめた手首に残る感触に、段々と実感は湧き上がり、この手は小さく震え出す。