イジワルな彼の甘い罠




こういう時、恋人だったら違うんだろうか。



余計なことを考えずにメールして、その答えに期待をしたり安心をしたり……そういうことが、出来るんだろう、

何度体が交わろうと心はひとつも通わない。私と航はそれだけの関係なのだと、つくづく思い知る。



「……航……」



『航』、その名前とアドレスが表示されたまま、暗闇で光るスマートフォンをぎゅっと握り締める。



いつ断ち切れてもおかしくない関係を繋ぐ糸は、見えるか見えないか、危ういほどに薄く細い。



いつか、いつの日か、その唇に終わりを告げられたとしたら、私は耐えきれるんだろうか。

7年という決して短くはない時間、彼に浸ったこの体は、彼なしの日々に戻れるんだろうか。



終わらない不安が、続いていく









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