いとしいこどもたちに祝福を【前編】
07 悋気と独占と雷光
「…女の一方的な嫉妬は見苦しいな」
「こんにちわ、晴海」
――開いた扉の向こうから明るい笑顔が現れて、晴海はつられて笑顔になった。
「夕夏さん、わざわざ迎えに来て貰って、すみません」
「夕夏でいいよ。敬語も使わなくていいからね?行こう、陸が待ってる」
陸の両脚は暫く安静が必要だということで、晴海だけあれから先に家に戻ってきていた。
しかし時折様子を見に行くと陸に告げたところ、一人では出掛けるなと強く釘を刺されたのだ。
自分が一人のときを狙って、秦が現れるのではないかと懸念してくれたようだった。
其処で、晴海の送り迎えを買って出てくれたのが夕夏だった。
こうして天地の診療所と自宅との間を行き来する際には、夕夏が迎えに来てくれることになった。
「私、小さい頃から妹が欲しかったんだ。だから君くらいの年頃の子とこうしてると、なんか嬉しいな」
晴海と並んで歩きながら、夕夏は嬉しそうに謳うような声で語った。
「わ、わたしも」
「晴海も?」
「うん…お姉さんが出来たみたいで、嬉しい。ずっと憧れてたの」
自分は、長女だから。
姉が出来る筈もない、叶うことは絶対にないことだと解ってはいたのだが。
こうして歳上且つしっかり者の夕夏の傍にいると、一時的とはいえ姉が出来たみたいな気分になれた。
「…何なら、お姉さんになっても構わないよ?背は私のが小さいけど」
――開いた扉の向こうから明るい笑顔が現れて、晴海はつられて笑顔になった。
「夕夏さん、わざわざ迎えに来て貰って、すみません」
「夕夏でいいよ。敬語も使わなくていいからね?行こう、陸が待ってる」
陸の両脚は暫く安静が必要だということで、晴海だけあれから先に家に戻ってきていた。
しかし時折様子を見に行くと陸に告げたところ、一人では出掛けるなと強く釘を刺されたのだ。
自分が一人のときを狙って、秦が現れるのではないかと懸念してくれたようだった。
其処で、晴海の送り迎えを買って出てくれたのが夕夏だった。
こうして天地の診療所と自宅との間を行き来する際には、夕夏が迎えに来てくれることになった。
「私、小さい頃から妹が欲しかったんだ。だから君くらいの年頃の子とこうしてると、なんか嬉しいな」
晴海と並んで歩きながら、夕夏は嬉しそうに謳うような声で語った。
「わ、わたしも」
「晴海も?」
「うん…お姉さんが出来たみたいで、嬉しい。ずっと憧れてたの」
自分は、長女だから。
姉が出来る筈もない、叶うことは絶対にないことだと解ってはいたのだが。
こうして歳上且つしっかり者の夕夏の傍にいると、一時的とはいえ姉が出来たみたいな気分になれた。
「…何なら、お姉さんになっても構わないよ?背は私のが小さいけど」