いとしいこどもたちに祝福を【前編】
陸の様子が何処となくよそよそしいようにも見えるが、回答は至極尤もだった。
自分もあのときは意識が朦朧としていたから、他の言葉と聞き違えたのだろう――そう思いながら、ふと俯いた。
「晴…?」
「…私も能力者なら良かったな。それなら陸を守れるし、みんなの足手纏いにもならないのに」
「いいよ、晴は今のままで。傍にいてくれるって、約束してくれただろ?」
ふわりと頭を撫でられて顔を上げると、陸が優しく微笑んでいた。
「何のために能力者が存在するのか、俺にも良く解らないけど。能力なんてない方が幸せだって……俺はそう、思うよ」
「陸」
陸は低い声色でそう呟いたが、表情は明るいままだった。
この四年間、陸はきっと数え切れない程にそう思ったのだろう。
それでも今は笑っていてくれる。
少しずつ、色々な表情を見せてくれる。
自分が傍にいることで陸の心が僅かでも救われるのなら、今はそれだけで良いではないか――
…たとえ、陸の心が自分に向いていなくても。
* * *
自分もあのときは意識が朦朧としていたから、他の言葉と聞き違えたのだろう――そう思いながら、ふと俯いた。
「晴…?」
「…私も能力者なら良かったな。それなら陸を守れるし、みんなの足手纏いにもならないのに」
「いいよ、晴は今のままで。傍にいてくれるって、約束してくれただろ?」
ふわりと頭を撫でられて顔を上げると、陸が優しく微笑んでいた。
「何のために能力者が存在するのか、俺にも良く解らないけど。能力なんてない方が幸せだって……俺はそう、思うよ」
「陸」
陸は低い声色でそう呟いたが、表情は明るいままだった。
この四年間、陸はきっと数え切れない程にそう思ったのだろう。
それでも今は笑っていてくれる。
少しずつ、色々な表情を見せてくれる。
自分が傍にいることで陸の心が僅かでも救われるのなら、今はそれだけで良いではないか――
…たとえ、陸の心が自分に向いていなくても。
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