いとしいこどもたちに祝福を【前編】
10 鬩ぐ遺憾と焦燥
「私の可愛い子供たち。どうか、無事で」
「ん……」
「晴」
ゆっくりと目を開けると、すぐ傍に母がいて、いつになく優しい笑みを浮かべていた。
「あ、れ…?」
「どした、まだ寝惚けてんの?」
「……かあさん…」
辺りを見回すと、窓の外はまだ随分と明るい。
じき夕方らしいが、何故こんな時間に自室で眠っていたのだろう。
「私、今まで何してたんだっけ…?」
「…陸が帰ってきたと思ったら、今度はあんたがぶっ倒れたって聞いて飛んで帰ってきたんだよ」
「倒れた…私が?」
確かに陸が帰ってきたことは覚えているが、そのあとの記憶がはっきりと思い出せない。
しかし倒れた、というのはまた違うような気がするのだが――
「ま、大したことなさそうで安心したよ。陸も随分心配してたんだ」
「…陸は?」
「居間で夕飯の下拵え手伝って貰ってるところ。早く顔見せてやりな」
「うん」
――仄と共に居間に向かうと、落ち着かない様子で椅子に座る陸の姿があった。
「晴」
ゆっくりと目を開けると、すぐ傍に母がいて、いつになく優しい笑みを浮かべていた。
「あ、れ…?」
「どした、まだ寝惚けてんの?」
「……かあさん…」
辺りを見回すと、窓の外はまだ随分と明るい。
じき夕方らしいが、何故こんな時間に自室で眠っていたのだろう。
「私、今まで何してたんだっけ…?」
「…陸が帰ってきたと思ったら、今度はあんたがぶっ倒れたって聞いて飛んで帰ってきたんだよ」
「倒れた…私が?」
確かに陸が帰ってきたことは覚えているが、そのあとの記憶がはっきりと思い出せない。
しかし倒れた、というのはまた違うような気がするのだが――
「ま、大したことなさそうで安心したよ。陸も随分心配してたんだ」
「…陸は?」
「居間で夕飯の下拵え手伝って貰ってるところ。早く顔見せてやりな」
「うん」
――仄と共に居間に向かうと、落ち着かない様子で椅子に座る陸の姿があった。