いとしいこどもたちに祝福を【前編】
11 妬心の鉄鎖と颯鳴
「俺には、守らなきゃならないものがあるんだ…っ」
――寒い。
暗くて、冷たい…
まるで、月虹にいた頃へ引き戻されたかのようだ。
「……は…つかったか」
「…申し訳…ません…見失…ました……」
「っの役立たず共がっ!…もういい、下がれ!!」
誰かの怒声と、それに謝罪する声がすぐ傍で聞こえる。
痺れていた全身に、徐々に感覚が戻り始め、それと入れ替わりに痛みが襲ってきた。
身体中が軋んで、身動ぎをするだけで激痛が走る。
(此処は…何処だ…?)
それでもまだ靄が掛かっている意識の中、唐突に頬へ衝撃が与えられた。
「っ…!!」
「まあいい…こいつさえいれば、必ず晴海は俺の元に来る」
目の前に立つ男――秦は、陸の前髪を乱暴に掴んで顔を上げさせた。
どうやら、先程の衝撃は右頬を殴られたらしい。
「よう…そろそろ麻痺が取れてきたか?感覚が戻ってるか確かめてやるよ!」
今度は左頬に痛みと衝撃が走った。
身体がよろめくと同時に、頭上からがしゃん、と鈍い金属音が響く。
暗くて、冷たい…
まるで、月虹にいた頃へ引き戻されたかのようだ。
「……は…つかったか」
「…申し訳…ません…見失…ました……」
「っの役立たず共がっ!…もういい、下がれ!!」
誰かの怒声と、それに謝罪する声がすぐ傍で聞こえる。
痺れていた全身に、徐々に感覚が戻り始め、それと入れ替わりに痛みが襲ってきた。
身体中が軋んで、身動ぎをするだけで激痛が走る。
(此処は…何処だ…?)
それでもまだ靄が掛かっている意識の中、唐突に頬へ衝撃が与えられた。
「っ…!!」
「まあいい…こいつさえいれば、必ず晴海は俺の元に来る」
目の前に立つ男――秦は、陸の前髪を乱暴に掴んで顔を上げさせた。
どうやら、先程の衝撃は右頬を殴られたらしい。
「よう…そろそろ麻痺が取れてきたか?感覚が戻ってるか確かめてやるよ!」
今度は左頬に痛みと衝撃が走った。
身体がよろめくと同時に、頭上からがしゃん、と鈍い金属音が響く。