いとしいこどもたちに祝福を【前編】
01 驟雨の中の邂逅
「君の眼は、晴れた日の海の色だね。…凄く、綺麗」
綺麗な花を咲かせる、草や木々が好き。
謡うように囀る小鳥や、愛らしい小さな動物たちが好き。
天気のいい日の風のにおいが、好き。
…人と会話をするのは、少し苦手。
働きに出ている母の代わりに、炊事や洗濯を行うのが日課だった。
日々の家事の合間に小さな庭で花を育てたり、其処へ遊びに来る野良猫や野鳥に餌をあげる。
たまに近所に住まう主婦たちと逢えば二三、言葉を交わす程度で。
あまり積極的に他人と関わり合いになろうとはしない。
自分はずっと、そうした暮らしを続けていくと思っていた。
そんな変わり映えのない生き方が、性に合っていると思っていた。