いとしいこどもたちに祝福を【前編】
訝しげに首を傾げる陸に、晴海は興奮気味に詰め寄った。

「だってその人、本当に陸とそっくりだったんだよ。それに“大切な捜しもの”って、夕夏たちみたいに行方不明になった家族を捜してるんじゃないのかな」

「その人がそう、言ったの?」

「それは…はっきり確かめられなかったの。ちょうど陸と入れ違いになっちゃったし…」

「じゃあ、その人の捜しものが何なのか、確かめてないんだろ?人探しじゃないかも知れないし」

「…でも陸、嬉しそうだよ?」

陸はそわそわと眼を泳がせていたが、指摘を受けると少し照れ臭そうに俯いた。

「ま、まあやっぱり…多少は気になるよ。そんなに似てるんなら、尚更」

勿論勝手な憶測だから、そんなに上手く話が進むとは限らない――それでも春雷で京に再会出来たら、何か解るかも知れない。

きっと陸も同じように考えているかと思うと、嬉しくなった。

「それにその人、とっても強い霊媒師だったよ。陸に掛かった魔法もあの人なら解けるかも」

「うん」

晴海は思わず、陸の手を両手で取って握り締めながら微笑んだ。

「陸の家族、春雷で見付かるといいね」

「…ありがと、晴」

すると不意に繋いだ手に力を込められ、陸の腕の中に引き寄せられた。

「ひゃっ…?!」

慌てて陸から身を離そうとしたら、今度はそのまま陸の両腕に抱き締められる。
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