いとしいこどもたちに祝福を【前編】
「くそっ!やっちまえ!!」

偽物(仮)の声を皮切りに男らが一斉に夕夏に掛かって行ったが、ものの見事に一人ずつ殴り倒されていく。

「すご…」

流石、一応喧嘩には自信のある秦が、唯一勝てないと言っていた相手なだけある。

「なっ…何だこの女…!?ちびの癖に異様に強いぞ!!」

「ちびは余計だよ、この馬鹿が。こっちは本物の馬鹿子息相手に十年以上やってきてんだ。馬鹿も休み休み言わないとそのお粗末な銀髪、燃やしてやるよ?」

夕夏の掌から、威嚇するように赤い炎が燃え上がる。

「ひっ…の、能力者だ!!」

男たちはそれを見ると、蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。

「あらら。お友達逃げちゃったね?ご子息様」

「くそ…!腰抜け共めっ」

「…あ、あの」

夕夏の様子を見守りながら、晴海は傍にいた従業員にこそりと声を掛けた。

「行方不明中のご子息様って、銀髪なんですよね?他にはどんな特徴のある人なんですか?」

「あ、はい。それは…――って貴方、うしろっ!」

「え…きゃっ!!」

いつの間にか背後に回ってきた男の一人に、腕を強引に捻り上げられた。

「っ晴海!!」
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