いとしいこどもたちに祝福を【前編】
偽物(仮)の仲間がまだ隠れていたらしい。
「詰めが甘いぜ女ぁ!その娘がどうなってもいいのか?」
「ぃ、た…はなしてっ」
男に腕を引かれて偽物(仮)の元まで歩かされると、仲間の男と入れ替わりに偽物(仮)が晴海の腕を拘束した。
「っ最悪だね。ご子息様って割には姑息な手使うじゃない」
「へっへ…この娘には昨夜見掛けたとき目をつけておいたん…」
「晴にさわるなっ!!」
「ぎゃああっ!!」
偽物(仮)は、突如現れた陸の飛び蹴りを思い切り顔面に食らい、仲間の男諸共玄関口まで吹っ飛ばされた。
「!」
陸はすとんと着地すると、非常に不機嫌そうに晴海の前に立って偽物(仮)を睨み付けた。
「っ晴に何度も触りやがって…大丈夫か、晴」
怒りの矛先は其処なのか、と思ったものの、心配げに訊ねられ晴海はこくこくと頷いて見せた。
「こっ、この野郎…っ!俺を誰だと思ってやがるっ!?俺はこの国の領主子息、霊奈(れいな)陸様だぞっ!!」
「えっ」
蹴り飛ばされた男ががなり立てながら言い放った言葉に、思わず声を上げた。
偽物(仮)は、今確かに自分が陸だと名乗った。
つまり“陸”は、行方不明中で銀髪の、春雷の領主子息の名前だと――そう言ったのか。
「詰めが甘いぜ女ぁ!その娘がどうなってもいいのか?」
「ぃ、た…はなしてっ」
男に腕を引かれて偽物(仮)の元まで歩かされると、仲間の男と入れ替わりに偽物(仮)が晴海の腕を拘束した。
「っ最悪だね。ご子息様って割には姑息な手使うじゃない」
「へっへ…この娘には昨夜見掛けたとき目をつけておいたん…」
「晴にさわるなっ!!」
「ぎゃああっ!!」
偽物(仮)は、突如現れた陸の飛び蹴りを思い切り顔面に食らい、仲間の男諸共玄関口まで吹っ飛ばされた。
「!」
陸はすとんと着地すると、非常に不機嫌そうに晴海の前に立って偽物(仮)を睨み付けた。
「っ晴に何度も触りやがって…大丈夫か、晴」
怒りの矛先は其処なのか、と思ったものの、心配げに訊ねられ晴海はこくこくと頷いて見せた。
「こっ、この野郎…っ!俺を誰だと思ってやがるっ!?俺はこの国の領主子息、霊奈(れいな)陸様だぞっ!!」
「えっ」
蹴り飛ばされた男ががなり立てながら言い放った言葉に、思わず声を上げた。
偽物(仮)は、今確かに自分が陸だと名乗った。
つまり“陸”は、行方不明中で銀髪の、春雷の領主子息の名前だと――そう言ったのか。