いとしいこどもたちに祝福を【前編】
何だ、この違和感。
晴海が特におかしなことを言った訳でもないのに、何か引っ掛かる。
「ねえ、陸」
ふと考え耽っているうちに名を呼ばれて振り向くと、明るい海の色をした瞳にじっと見つめられていた。
「…うん?」
「どうしてこんな酷い怪我したの?」
「………それは」
言葉に窮し困り果てていると、晴海が何故か慌ててごめんなさい、と口にした。
「話したくない、ことだってあるよね。なんか、陸が目を覚まして、沢山話をしてくれたのが嬉しくて。つい、私…」
「いや、いいんだ」
(ちゃんと事情を話せない俺が悪いんだから…)
だから、そんな悲しそうな顔をしないで。
晴海の表情が曇ってしまうと、とても落ち着かない気分になってしまう。
しかしこれ以上、彼女に迷惑を掛ける訳にはいかない。
「あの、晴。俺…」
なんとか会話を繋ごうと声を上げた瞬間、扉を叩く音に気を取られて思わず口を閉ざした。
――次いで、開いた扉から晴海に良く似た女性が顔を覗かせる。
「様子見に行ったきりなかなか戻ってこないと思ったら…その子、目を覚ましたんだ」
晴海が特におかしなことを言った訳でもないのに、何か引っ掛かる。
「ねえ、陸」
ふと考え耽っているうちに名を呼ばれて振り向くと、明るい海の色をした瞳にじっと見つめられていた。
「…うん?」
「どうしてこんな酷い怪我したの?」
「………それは」
言葉に窮し困り果てていると、晴海が何故か慌ててごめんなさい、と口にした。
「話したくない、ことだってあるよね。なんか、陸が目を覚まして、沢山話をしてくれたのが嬉しくて。つい、私…」
「いや、いいんだ」
(ちゃんと事情を話せない俺が悪いんだから…)
だから、そんな悲しそうな顔をしないで。
晴海の表情が曇ってしまうと、とても落ち着かない気分になってしまう。
しかしこれ以上、彼女に迷惑を掛ける訳にはいかない。
「あの、晴。俺…」
なんとか会話を繋ごうと声を上げた瞬間、扉を叩く音に気を取られて思わず口を閉ざした。
――次いで、開いた扉から晴海に良く似た女性が顔を覗かせる。
「様子見に行ったきりなかなか戻ってこないと思ったら…その子、目を覚ましたんだ」