いとしいこどもたちに祝福を【前編】
15 錯綜する思慕と光影

「お前は本当に…そういう所もあいつそっくりだよ」

「そろそろ二人が戻って来る頃だと思うんだけど…みんなに一つだけ、気を付けて欲しいことがあるんだ」

陸と周が出ていってから暫くして、京はそう切り出した。

「?」

「陸のことだけど…あの子が能力者だってことは、僕ら家族とごく限られた人間しか知らないんだ。だからそのことは内密にしておいてくれるかい」

「あ…そう、ですよね」

珍しい体質を持つということで、月虹以外にも陸の力を狙う者が現れるかも知れない。

あの力は、何処に在っても持ち主を苦しめるばかりなのか。

「…だが月虹は、陸を元々能力者として連れ去ったんじゃないのか?」

「!そう言えば…」

確かに賢夜の言う通りだ。

月虹は陸を、能力者と――或いは陸の特異体質を知っていて狙ったことになる。

「それは僕も月虹の話を聞かせて貰ったとき気になってたよ。何故向こうは、陸が能力者だと知っているのか」

「まさか、当然気配を辿られるようなことは…」

夕夏の言葉に、京は苦々しげな面持ちで頷いた。

「父は、陸が生まれてすぐにその体質に気付いてる。だから陸から能力者の気配がしないよう、結界も張ってたんだよ」

「…じゃあ、誰か」

「――京様?こちらにいらしたんですの」

不意に声を掛けられた京は、ほんの一瞬、不快げに眼を細めた。
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