いとしいこどもたちに祝福を【前編】
16 月光と夕闇からの急襲
「前にも言ったでしょ?そういうときは謝るなって」
晴海は大きな寝台の片隅に、何となく落ち着かない気分で蹲った。
『晴海ちゃんの部屋は此処だよ。何か足りないものがあれば遠慮なく言って』
と京に案内された部屋は、やはり一人では持て余してしまうくらい広い。
隣室の夕夏と相部屋にして貰えば良かった。
入浴後、皆揃って夕食を取ったのだが、陸を変に意識してしまって落ち着かなかった。
折角出された料理も、殆ど食べられなかった気がする。
「はあ…」
――邸の造りは全体的に簡素で、家具や調度品も同様だが、やはり一般家庭にあるものとは明らかに質が違う。
見るからに豪華絢爛、というよりは遥かに良いが、然り気ない高級感が何とも言えない緊張を誘う。
その辺りに何気なく飾ってある花瓶一つ取っても、きっととんでもない値段だったりしそうだ。
「傷付けたり壊したりしないように気をつけないと…」
着ていた服は、湯を使っている間に新しいものを用意されていた。
着の身着のまま、着替えなどは持って来れず後で買うしかないと思っていたので、気遣いは非常に有難いが。
この服も、元のものと似た系統のものを選んでくれているものの、こちらのほうが確実に上質なものだ。
こんな立派なものを着させて貰っていいのだろうか。
母と二人、ずっとあの小さな家での質素な生活に慣れていた自分にとっては、不慣れなものが多過ぎる。
「…陸も、私のうちから急にこのお邸じゃ落差があり過ぎだよね」
今頃、陸はどうしてるのかな。
『晴海ちゃんの部屋は此処だよ。何か足りないものがあれば遠慮なく言って』
と京に案内された部屋は、やはり一人では持て余してしまうくらい広い。
隣室の夕夏と相部屋にして貰えば良かった。
入浴後、皆揃って夕食を取ったのだが、陸を変に意識してしまって落ち着かなかった。
折角出された料理も、殆ど食べられなかった気がする。
「はあ…」
――邸の造りは全体的に簡素で、家具や調度品も同様だが、やはり一般家庭にあるものとは明らかに質が違う。
見るからに豪華絢爛、というよりは遥かに良いが、然り気ない高級感が何とも言えない緊張を誘う。
その辺りに何気なく飾ってある花瓶一つ取っても、きっととんでもない値段だったりしそうだ。
「傷付けたり壊したりしないように気をつけないと…」
着ていた服は、湯を使っている間に新しいものを用意されていた。
着の身着のまま、着替えなどは持って来れず後で買うしかないと思っていたので、気遣いは非常に有難いが。
この服も、元のものと似た系統のものを選んでくれているものの、こちらのほうが確実に上質なものだ。
こんな立派なものを着させて貰っていいのだろうか。
母と二人、ずっとあの小さな家での質素な生活に慣れていた自分にとっては、不慣れなものが多過ぎる。
「…陸も、私のうちから急にこのお邸じゃ落差があり過ぎだよね」
今頃、陸はどうしてるのかな。