いとしいこどもたちに祝福を【前編】
背に受けた雷撃から、刺すような痛みが全身を駆け抜ける――一瞬意識が遠退き掛けたが、唇を噛み締めて懸命に堪えた。

「く、……は…っ」

「おっ…おにいちゃんっ、だいじょうぶ?!」

頽(くずお)れて苦しげに息をつくと、傍らの少女が心配そうにこちらを覗き込んできた。

「…やだ、陸なら今くらいの雷、防げる筈なのにっ…そんな子供のために盾になったの?!」

本気で当てる気ではなかったのか、雪乃が忌々しげに少女を睨み付ける。

泣き出しそうな少女の頭を撫でながら、何とか笑顔を作って頷いて見せた。

「大、丈夫…此処は危ないから、早く逃げろ…っ」

「逃がさないよ!そんな邪魔な餓鬼っ、今すぐ殺してやる!!」

すると少女の足元から突き出した木の枝が、小さな身体を捕らえて持ち上げた。

「きゃああっ!」

「っ!?雪乃、止めろっ…!!」

陸が身構えた瞬間、雪乃は少女を腕の中に抱き寄せた。

「!」

「どうしたの?陸…これじゃ攻撃出来ないの?こんな何処の誰かもわかんない子供が大事?この子のせいであたし陸を傷付けちゃったのにぃ…」

雪乃の手が、泣きじゃくる少女の細い喉元に伸びる。

「雪、乃っ…!」

「この子を助けたいの?じゃあ、あたしと一緒に帰ろ?そうすればこいつのこと、殺さないであげるよお」
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