いとしいこどもたちに祝福を【前編】
「…!夕夏、賢夜」

「あの子を月虹なんかに連れて行かれたら、何されるか解らないからね。急ごう」

半ば二人に腕を引かれるような形で、前に進む。

「でもっ…」

いいのか、と訊ねようとすると賢夜に言葉を遮られた。

「奴ら、君が一人で行かなきゃならないとは一言も言ってなかったからな。三人で晴海を迎えに行くぞ」

「……二人共、ごめ…」

俯きがちにそう口にし掛けると、夕夏の手に軽く小突かれた。

「前にも言ったでしょ?そういうときは謝るなって」

「…うん……有難う、二人共」





月光と夕闇からの急襲 終.
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