いとしいこどもたちに祝福を【前編】
ふと窓辺に立った晴海の手の辺りで、一瞬何かが陽の光を反射した。

(――何だ?)

「…晴。それ、何?」

「どれ?」

反射したものの正体は、晴海の左手首に着けられた真珠の腕飾りだった。

淡い紅色を帯びたそれは、柔らかな光沢を放って見える。

「ああ、これ?」

「綺麗だな。晴の眼の碧い色と、良く似合ってる」

「あ、ありがと」

すると晴海の顔が、仄にからかわれたときと同じくらい真っ赤になった。

自分としては、感じたことを素直に口にしただけなのだが。

「これね、誰かに貰った筈なんだけど…いつ何処で、誰に貰ったのか全然思い出せないの。だけど、大事にしなきゃってことは覚えてるんだ」

「そっか…」

だが、きっとこれを晴海へ贈った人は自分と同じように、彼女の眼の色には真珠が良く似合うと思ったのだろう。

晴海は苦笑して、そっと左手首に右手を添えた。

「これ、本物の真珠みたいだし…こんな高価そうなものくれた人を少しも覚えてないなんて。おかしいでしょ」

「…わかるよ」

「え?」
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