いとしいこどもたちに祝福を【前編】
それにしても、この二人の容姿はよく似ている――きっと双子なのだろう。

二人一緒に月虹へ連れ去られたのだろうか。

そんなことを考えていると、ふと二人の鳶色をした眼がゆっくりと開かれた。

「…此処、は?」

「何処、だ…?」

二人はぼんやりとした表情のまま、ゆっくりと辺りを見回した。

「…やあ。気分はどうだい?僕に見覚えがあるだろう?」

京が優しげに問い掛けると、二人は不思議そうに首を傾げて眼を瞬いた。

「あんた、は…」

「…陸の、兄貴」

京は頷きながら二人に歩み寄った。

「そう。僕は京…君たちの名前も訊いていいかい?」

二人は特に京を警戒するでも抵抗するでもなく、素直に頷いた。

「…おれは、茜」

「あたしは葵…」

すると京は、二人の目の前に屈み込んで目線を下げた。

「茜くんに、葵ちゃん。君たちに掛けられていた能力を抑える魔法は解除したよ。他に何か変わったことはあるかい?」

京の言葉に、茜と葵は互いに顔を見合わせた。
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