いとしいこどもたちに祝福を【前編】
「確かに、仄さんを通して仲良くなった人も多いのかも知れないけど…仄さんは仄さん。周りはちゃんと晴のことを見てると思うよ?だからみんな、ああして声を掛けてくれるんじゃないかな」

「陸」

「現に俺は晴がいたから命拾いして、此処にこうしていられるんだから」

偉そうなこと言ってごめん、と陸は苦笑いを浮かべて締め括ったが。

陸がそう言ってくれたことが、何だかとても嬉しかった。

「ありがと、陸」

同じ年頃の男の子は、どちらかと言えば苦手だ。

無条件に嫌悪している訳ではないが、共通の話題が見付からなくて上手く会話が長続きしない。

けれど陸は、聞き上手なのか話し易いし、一緒にいると楽しい。

特に炎夏は土地柄故か、陽気で元気過ぎる若者(中年も元気な気もするが)が多く、陸のように物静かな性格の青年は余り見かけない。

中でも最も苦手な系統の若者の典型が、あの秦である。

あの落ち着きと大人げのなさで晴海より三つも年長かと思うと、呆れ果てる他ない。

「…そういえば陸って、幾つなの?何となく、私と同じくらいだろうなって思ってたけど」

年齢ならきっと支障ないだろうと訊ねてみたが、予想とは裏腹に陸は考え込むように黙ってしまい、なかなか答えは返って来なかった。

「…多分、十八?」

難しそうに眉根を寄せて、漸く陸が答えた。

「あ。じゃあ、私の二つ歳上なんだ」

何故疑問系なのかは、この際触れないでおこう。
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