いとしいこどもたちに祝福を【前編】
05 約束、ふたつ
「…私は、そのせいでまた陸が傷付くのは嫌だよ」
――誰かの掌がそっと額に触れたのを感じて、俄(にわか)に意識が覚醒する。
「…ああ、ごめん。起こしちゃったかな」
開いた目線の先で、見知らぬ女性がそう言って微笑んだ。
どうやら先程の掌の主は彼女だったらしい、置かれたままの手に頭を優しく撫でられた。
「あなた……は、だれ…?」
起き抜けのまだはっきりとしない頭で、目の前の女性に問う。
黒い髪に、金色の瞳。
何処かで見たことがあるような、顔立ち。
けれど思考にぼんやりと靄が掛かっていて、上手く思い出せない。
女性は微笑むだけで、こちらの問いには答えなかった。
「もう少し、休んでなさい。今は無理に考えないほうがいいよ」
女性はゆっくりと立ち上がると、開いた扉の向こう側に声を掛けた。
「ねえ、こっちの子、目を覚ましたよ」
「ああ。夕、有難う」
遠くから落ち着きのある低い声が聞こえて、足音がこちらに近付いてきた。
何処となく聞き覚えのあるような、優しげで低い声。
しかしそれが誰の声かは、まだ上手く思い出せない。
すると、その声の主がふと扉から顔を覗かせた。
「…ああ、ごめん。起こしちゃったかな」
開いた目線の先で、見知らぬ女性がそう言って微笑んだ。
どうやら先程の掌の主は彼女だったらしい、置かれたままの手に頭を優しく撫でられた。
「あなた……は、だれ…?」
起き抜けのまだはっきりとしない頭で、目の前の女性に問う。
黒い髪に、金色の瞳。
何処かで見たことがあるような、顔立ち。
けれど思考にぼんやりと靄が掛かっていて、上手く思い出せない。
女性は微笑むだけで、こちらの問いには答えなかった。
「もう少し、休んでなさい。今は無理に考えないほうがいいよ」
女性はゆっくりと立ち上がると、開いた扉の向こう側に声を掛けた。
「ねえ、こっちの子、目を覚ましたよ」
「ああ。夕、有難う」
遠くから落ち着きのある低い声が聞こえて、足音がこちらに近付いてきた。
何処となく聞き覚えのあるような、優しげで低い声。
しかしそれが誰の声かは、まだ上手く思い出せない。
すると、その声の主がふと扉から顔を覗かせた。