君の幻



『俺さ、いい加減その仏頂面だけじゃなくて、
 お前の笑った顔見たいんだ』


 ・・・いつから、冬吾と話すようになったんだっけ

 話すようになったきっかけとかは全然覚えてないのに
 この言葉だけ、今でも鮮明に思い出す


『いや、むすっとした顔も女王様って感じで好きなんだけ、うそうそうそ、怒んなって!

 だから好きなんだけど、お前は女王様ってよりかはよっぽどわがまま姫みたいな感じで、ん?フォローにならねえな、なんでだ?』


 こんなこと言うような馬鹿で、でもだからこそ、強く惹かれた

 
 明るいだけじゃなくて、包み込んでくれる温かさがあって、
 
 冬の寒さに希望をくれる、太陽のような人だった


「・・・寒いわ、冬吾」


 こんな寒さ、あんたのコートがないと乗り切れるわけがないじゃない



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