赤ずきんは狼と恋に落ちる
赤ずきんの隠し事
ふんわりと温かい毛布に包まれた心地。
肌寒さを感じていた身体には、ちょうど良い温度だ。
少しだけ醒めてしまった。
まだ靄がかかっている頭で暖を取ろうと、毛布を羽織ろうとした時だった。
「おはよ、りこ。もしかして起こしてしもうた?」
「え?あ、おはようございます?……えっと、あの……、」
昨日のことは、鮮明すぎるくらいに憶えている。
あまり思い出すと、赤面するくらいに。
それよりも気になるのは、昨日の情事の後、自分がどうしたのか。
ちゃんと服を着て寝たのか。
……さっきまでの異常な肌寒さの原因だと分かったのは、今更ながらだけど。
あんなことをした後であっても、冬に何も着ないで寝てしまったのは失敗だった。
「もう寒くない?」
「あ……。平気です」
平気だと答えた今も、千景さんは背中を優しく撫でてくれる。
肌が触れている部分だけ、熱を帯びているみたいで、何となく気恥ずかしい。