赤ずきんは狼と恋に落ちる





朝食をばっちり済ませ、いつもよりも手を抜いて出勤準備。



いつもは髪を軽く梳かしてシュシュでまとめるけれど、さっきのやりとりと忠告を思い出し、下ろしたままにする。



どこにつけられたのか私からは見えず、何だか寂しいような、悔しいような気持ちになる。



そっと指でそこを一撫でし、チークとグロスを軽く塗って支度を終えた。




「行ってらっしゃい」

「行って来ます」




ドアを閉める寸前で額にキスを落とされ、ふっと少し悪戯げな顔が離れていく。




本当に恋人同士になったんだ、と改めて確認。


抑えられそうにない嬉しさを噛みしめ、いつもより足取り軽くマンションを出た。



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