赤ずきんは狼と恋に落ちる
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「叔母さんの具合が良さそうで安心しました。早く元気になって下さいね」
「ありがとね、りこちゃん。わざわざお花まで買って来てくれて」
あまり長居するのも悪いとは思いつつも、つい話し込んでしまう。
叔母さんも、話相手が居ないからつまらなかったと、苦笑しながら花を弄っていた。
当たり障りのない世間話をしている間に、すっかり陽が落ちてしまっていた。
「私そろそろ帰りますね。久しぶりに話せて良かったです」
「あら……。もう暗くなってるのね。今日はありがとう。姉さんと義兄さんにもよろしく伝えててね。元気だって」
「はい。また来ますね。じゃあ、お大事に」
カラカラと静かにドアを閉めると、昼間のあのおじいさんを遠くに見つけた。
待合室で座っているおじいさんは、何となく元気がない。
隣に女の人が座っている。
よくは見えないけれど、泣いているように見えた。
おじいさんに気付かれないようにさっと後ろを通り過ぎ、病院を後にした。
隣で泣いていたあの女の人を、どこかで見たような気がする。
今思い出せないのがもどかしい。
最近見た人かな?
どこで会ったのか全然思い出せないまま、薄暗い道を歩いて帰った。