赤ずきんは狼と恋に落ちる
――短くて、濃密な夜だった。
ごく自然な成り行きで求め合い、肌を重ねた。
数えきれないほどキスをして。
いつもは我慢する嬌声を上げて。
泣いて、鳴いて、泣いて。
うなされたように「千景さん」と名前を呼ぶと、愛おしそうに頬を撫でてキスをしてくれた。
好き。
好き。
大好き。
千景さんのことしか考えられなくて、眠ってしまうのが嫌だった。
色んな感情が混ざり混ざって、次に目を開けた時、
千景さんは、もう隣には居なかった。