赤ずきんは狼と恋に落ちる
久しぶりの外食で、少しは気分も上がるかと期待していたけれど、そうでもなかった。
つくづく面倒な人間だと思う。
一口一口をスローモーションのように咀嚼し、ゆっくりと飲み込む。
美味しい。
これ、誰が作ったのかな。
一人で黙々と食べる私に憐れんだのか、バイトさんが、頼んでもいない食後のデザートを持ってきてくれた。
「店長の知り合いなんですか?これ、店長からです!」
人当たりの良い笑顔と一緒に、バニラアイスとコーヒーを置いていった。
ちらっとカウンター席の方を見ると、「帰るな」と言ったような視線を浴びせてきた。
何の話をするんだろう。
私から話すことは特にないような気がする。
まぁ、とりあえず待てばいいか。
視線をバニラアイスに戻すと、それもさっきと同じように、ゆっくりと溶かすように食べた。