赤ずきんは狼と恋に落ちる
「佐々木!今日の夜、空いてる?」
「え?」
バシンと背中を叩かれたと思ったら、私の上でにっこりと笑う渡部さんが居た。
「渡部さん……」
こんな風に背中を叩かれたときは、いつもアレだ。
「今日、飲むから!!」
……やっぱり。
渡部陽菜さん。
私とは同期で、色々と仲良くさせてもらっている。
とにかく明るくて、飲むことが好きで、合コン好き。
そういう場所が苦手な私でも、とりあえず渡部さんが居るから、何となく行っている。
因みに、私の斜め前に座っている係長とデキている。
係長の冷ややかな視線を浴びつつ、渡部さんの話を聞く。
「この前、島上が振られたから慰め会しようと思って。この際、りこのも合わせてやろうってことになったの!」
「あ…ははは……。親切にどうも……」
少しだけ心にグサリと感じるも、曖昧に笑って受け流す。
慰め会。
ありがた迷惑この上ないが、渡部さんのことだ。
何となく、気を遣っているつもりなんだろう。
多分。