赤ずきんは狼と恋に落ちる
赤ずきん想いの狩人
慰め会での一件から2週間。
お互いギクシャクしながらも、何とか曖昧なまま、生活している。
そんな時だった。
あまり鳴らない自宅の電話から、けたたましいコール音が響いた。
「誰からだろう……?」
親でさえ、携帯にかけてくるのに。
不思議に思いながらも、受話器を手に取る。
「もしもし?」
「あ、お姉ちゃん?私!私なんだけど!!」
どこかでありそうな、詐欺みたいな電話。
声は確かに、聞き覚えがある。
「……ちほ?」
私の妹。
「そうだよー!あのね、今からお姉ちゃん家に行くね!」
「はっ?!」
「だから、お姉ちゃん家に行くって。
あ、もうマンションの下に居るから」
ガチャッ。
言いたいことを全部言った上で、電話を切ってしまう。
昔からなのだが、今はそれは問題ではない。
「妹さん?」
千景さんの声に、びくっと肩を震わせる。
恐る恐る振り向くと、千景さんは、会話の内容は把握した、という顔をしている。
どうしよう……!
絶対、ちほにバレる!