赤ずきんは狼と恋に落ちる
――あれから、5日が経った。
ちほとは未だにギクシャクしていて、まともに話が出来ない。
千景さんともあれから連絡は取っていない。
何度も何度も、携帯を開いては閉じての繰り返し。
会社から家に戻るのに、普段なら足取りも軽いのだが、ちほのことを考えると、重たく感じてしまう。
つくづく、ダメな姉だと痛感する。
「ただいまー……」
こんな時でも、ちほは私に「おかえり」と言ってくれるのだが。
「……ちほ?」
今日は、居ない。
近所のコンビニでも行ったのかなと思い、靴を脱いで、バッグとコートを部屋に置く。
ちほの携帯に電話をかけるのも良いけれど、小さい子供でもあるまいし、彼女も嫌がるだろう。
「待ってたら戻ってくるよね」
一人でぽつりと呟き、リビングのソファーに座った。