赤ずきんは狼と恋に落ちる



――あれから、5日が経った。



ちほとは未だにギクシャクしていて、まともに話が出来ない。


千景さんともあれから連絡は取っていない。



何度も何度も、携帯を開いては閉じての繰り返し。




会社から家に戻るのに、普段なら足取りも軽いのだが、ちほのことを考えると、重たく感じてしまう。



つくづく、ダメな姉だと痛感する。





「ただいまー……」




こんな時でも、ちほは私に「おかえり」と言ってくれるのだが。




「……ちほ?」





今日は、居ない。




近所のコンビニでも行ったのかなと思い、靴を脱いで、バッグとコートを部屋に置く。




ちほの携帯に電話をかけるのも良いけれど、小さい子供でもあるまいし、彼女も嫌がるだろう。




「待ってたら戻ってくるよね」




一人でぽつりと呟き、リビングのソファーに座った。



< 69 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop