赤ずきんは狼と恋に落ちる
近所のコンビニに行っても、ちほの姿はなかった。
ちほと出かけた場所の一つ一つを思い出しながら、走ってそこに向かう。
私、この前食事しただけで、全然ちほと歩いていなかったんだ。
走るのを止め、その場に立ち止まる。
何にも、分かってなかったんだ。
はぁっ、と大きく息を吐くと、手の中に白い空気が出来上がる。
こんなに寒いのに。
早く見つけて、温かいものでも一緒に飲もう。
分かってもらうなんて話は、もう全部後回し。
今はちほを早く見つけなきゃ。
時間を見ようとして、携帯を開くと、『新着メールが1件あります』の文字が飛び込んできた。
メールの差出人は、千景さんだった。
10分ほど前に来ていたようだ。
全然気付かなかった。
メールを開くと、短い文字だけ。
『妹さん、店に居る』