赤ずきんは狼と恋に落ちる
「本当にご迷惑おかけしました!」
姉妹二人、体を斜め45度にして、千景さんに平謝りに謝る。
「そんなに謝る事ないですよ」
両手を顔の前で横に振り、困ったように笑う千景さん。
「妹さん、見つかって良かったですね」
「それは千景さんが……」
電話をしてくれたからです。
と言う前に、千景さんは「シーッ」と唇の前で人差し指を立てた。
「じゃあ私、明日には帰ろうかな?」
ちほはにっこり笑ってそう言うと、「宇佐城さん」と、呼んだ。
「はい?」
「ちょっとこっち来て下さい」
千景さんのエプロンを掴み、私から少しだけ離れる。
もうあんなに仲良くなっている……!
「羨ましい」と思うと同時に、安心する。
認めてくれたから等ではなく、ただただ、嬉しいから。
勿論、少しだけ疎外感を感じてしまうが。
それでも、あんな風に二人が話しているところを見ると、ホッとする。