赤ずきんは狼と恋に落ちる




「わぁ……可愛いですね」



そっと包み込み、渡されたマグカップをじっと見る。


淡いピンク色に、小さなレースのような縁どり。


これは……、女性向けだろうな。



「店に新しいのを置きたいんやけど、この2つで迷っとるんや。りこさん、どっちが好き?」




左手に持っている真っ白のシンプルなマグカップをくるりと回しながら、首を傾げている。


確かに、千景さんのお店は女性客の方が多い。


こんな風に喋る間柄になる前に、何回か来た時も、女性客の多さに少しだけ驚いた記憶がある。




「私だったら、このカップが好きです」




デザインが可愛らしく、サイズも私に合っている。


他の女性客にも、このマグカップは好評だと思う。




「分かった」



ひょいとマグカップを取ると、片方の白いマグカップを私に渡す。


千景さんは、私から取っていったマグカップを、そのままレジへ持っていった。



買う個数が多いから、頼んでいるのかな?


レジの方をじっと見ていても、書類みたいなものを書く訳でもないらしい。


1つだけ……?


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