甘い時間は生徒会室で。


「離してください、神崎先輩。」


結愛ちゃんは小さく、か細い声で呟いた。


俺は、ゆっくりと結愛ちゃんを離す。


わかってるよ、俺だって。


「ごめんなさい…………………私はっ…………」


そうなんだろ?


「それでも、璃斗が好きなんだろ?」


「えっ?」


なんで知ってるの?と言わんばかりの目をして俺を見た。


わかるさ。


俺が抱きしめても、結愛ちゃんは俺を見ていなかったから。


結愛ちゃんはさっき、この辛さを味わったんだろ?

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