だんご虫ヒーロー。
え?雪菜ちゃん……?
振り返ると、部屋の出入り口には慌てた表情の綾女がいた。
私と先輩の顔を見て、綾女は顔色を青くする。
「…え、あ、えーっと……
李と先輩がラブラブしてるのをここから見てたらですね?
雪菜ちゃんがやってきて、一緒に見てたら雪菜ちゃんが急に走り出しちゃって…その……」
雪菜ちゃん、見てたんだ…
雪菜ちゃんの恋を応援した私が、雪菜ちゃんの好きな先輩といればそうなるよね。
ましてや今はお互い気まずいとこだったのに。
余計に気まずくさせてしまった。
「…雪菜がどっちに走ってったか、綾女ちゃん分かる?」
悩んでる私をよそに、先輩は落ち着いている。
「…えっと、えーっと…確かお祭りがやってる方に走っていった気が……」
綾女は夏祭りがやってる方向に指差す。
夏祭り……
雪菜ちゃんはきっと先輩と行くのを楽しみにしてたんだよね。
浴衣着て、化粧して、いつもとは違った自分を見て欲しかったんだよね。