だんご虫ヒーロー。
進むんだ、前に。
その人を助けたいって思ったら、素直に助ける。
今までそうしてきたように、今回もそうすればいいんだよ。
『やりたいことを素直にやればいいんだよ?』
先輩だったらきっとこう言うんだろうな。
「…はい、できたよ」
先輩に声をかけられて鏡を見る。
やっぱり、この髪型が一番しっくりくる。
私の原点であり、先輩と出会うきっかけとなった髪型。
鏡に映る私は、まるで過去の私を見てるよう。
でも"今"の私は"過去"の私とは違う。
「…先輩。
私、今日限りの"ヒーローぶってるだんご虫"になってきます。
先輩が言うように私のせいじゃないとしても、それでも傷ついてる人を放っておけないから」
それが私の性分なんです。
眉をハの字にしてニコッと笑う。
「約束」によって形作られた、私の性分。
形作られたとしても、これが私だから。
"過去の約束に囚われた私"も、"変わろうともがく今の私"どちらもたった一人の自分だから。
自分を抱き締めて、受け入れて生きていくんだ。