だんご虫ヒーロー。
先輩が暴れなくなってからすぐに騒ぎを聞きつけた警備員がやってきて、男達を連れていった。
雪菜ちゃんは詳しい事情を話すために警備員についていった。
尾口先輩も雪菜ちゃんが心配だからと、雪菜ちゃんに付き添った。
そして私と先輩は真智子さんが待つ海の家へと向かっている。
「...あの、先輩?」
「ん?どうしたの、李。ほっぺ痛む?」
先輩は心配そうに私の顔を覗き込む。
いや、そうじゃなくてですね...?
「...いい加減、私を下ろしてくれませんか?」
ムッと頬を膨らませて先輩を見る。
それは出来ないな~。
先輩はふっと微笑んで私を見た。
私は今、先輩にお姫様抱っこをされている。
あの騒ぎがあった場所から海の家沿いのこの人通りの少ない道路まで。
ここに来るまでに何回下ろしてと先輩に言ったんだろう。
10メートルごとに言ってる気がするけど...
頻繁に言ってしまうほど、周囲の視線が痛い。
...とにかく今は早く海の家に着いて欲しいという考えしかない。