だんご虫ヒーロー。
荷物を持って出入り口へと行き、外へ出る。
そこには……
「…お、尾口……先輩…?」
海の家の出入り口で立ち尽くしているのは左頬を赤くした尾口先輩。
あれ、左の頬が手形に赤くなってる。
漫画でよくある平手打ちされた後の光景みたい。
「…尾口先輩、誰に平手打ちされたんですか?」
眉間にシワを寄せて尾口先輩を見る。
尾口先輩は苦笑いして平手打ちされたと思われる左頬を押さえた。
「……あ、李ちゃんそれ聞いちゃう?」
李ちゃん?
いつから私と先輩はそんなに仲良くなったんですか?
お手伝いの時はそんなに話さなかったし、たくさん話したのは綾女のバイト先で話したくらい。
さすがチャラ男2号先輩というだけのチャラさはある。
すると優しく後ろから抱き締めてきた彼女が、先輩が誰に平手打ちされたかが分かる一言を口から放つ。
「…李のこと気安く名前で呼ばないでください。また平手打ちしますよ?」