だんご虫ヒーロー。
驚いてつい口を手で覆った。
それがまた可笑しかったのか、雪菜はクスクス笑ってる。
「…すぐ分かるよ。そんな優しい笑顔は李ちゃんの前でしか見せてないもん」
優しい笑顔?
雪菜の前でも李といるみたいに、いつもの笑顔を見せてるつもりなんだけど。
何か違うのかな?
俺には違いが分からない。
首を傾げて雪菜を見つめる。
雪菜はどこか寂しそうな笑顔を俺に見せた。
そして雪菜は海をまっすぐに見つめた。
「…話っていうのはね、私の決意を夕里に聞いて欲しくて」
「…雪菜の、決意……?」
雪菜は俺を見てニコッと笑った。
「…夕里に振られたことがショックで、私、李ちゃんに酷いことたくさん言って李ちゃんを傷つけた。
でも李ちゃんは諦めずに、私と向き合おうとしてくれた。
私はまた李ちゃんと話したら酷いことを言っちゃうかもって遠ざけてたのに、李ちゃんは私に近付いてきてくれた。
こんな私のために何回も傷ついて、それでも私に手を差し伸べて助けてくれた」
雪菜はベンチから立ち上がり、空に高く昇る太陽に手をかざした。
太陽は眩しく俺達を照らしている。