だんご虫ヒーロー。



「…私はもう大丈夫だから、夕里は李ちゃんのこと守ってあげてね?
好きなんでしょ?……李ちゃんのこと」



好きな人のことには敏感になるとか聞いたことあるけど、雪菜は気付いてたのか。



雪菜を見て思わず苦笑い。



初めて会った時から惹かれてたんだ、李に。



だって初めてだったから。



出会い頭に俺を睨んできた女の子は、李が初めてだった。



媚を売る目でもなく、しっかりと意思を持った睨んだ目。



そんな李の強さに惹かれたんだ、俺は。



強さの影にある李の"傷"を見て、守ってあげたいと思った。



睨む君を見て、強がる君を見て、せめて俺が君を守ってあげたいって思ったんだ。



その硬い殻を優しくほぐしてやりたいって。



小さい李の体じゃ、その大きな"傷"は背負い込みきれないから。



李だけを見て、李だけを守ってやりたい。


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