だんご虫ヒーロー。
李に出会ったばかりの俺なら、そう考えてた。
雪菜からハサミを受け取ろうとして、雪菜の手をハサミごと握る。
「…え、夕里……?」
驚いて俺を見上げる雪菜。
俺は両手で雪菜の手を包み込むようにして握る。
「…俺に守らせて、雪菜を。
雪菜は俺にとっては家族みたいな存在だから。
血は繋がってなくても、昔からずっと一緒にいた家族だから。
1人で強くなりすぎるなよ?
困った時は李だけじゃなくて、俺にも頼っていいんだからな?」
雪菜を1人の女性として見てないとしても、俺は家族として見てる。
それを伝えたかった。
振った時はいきなりの告白だったから、このことが伝えられなかった。
もしあの時雪菜は家族みたいな存在だって言っとけば、こうはならなかったかもな。
雪菜の目に溜まってた涙が一筋、頬を伝って流れた。
でも涙はそれっきり雪菜の目からは流れてこなくて。
「…うん!」
涙の代わりに見たのは笑顔だった。