だんご虫ヒーロー。
「協力してくれるなら、このプリントは燃やして処分してあげる。
あ、でもあたしの自作自演のことを喋ったら容赦なくこれ、ばら撒くから」
私を見つめる北村さんは鋭い目つきをしてる。
嫉妬と憎悪が入り混じった、そんな目つきをしてる。
その目つきを見ると同時に、私には拒否権がないことを知る。
北村さんに協力しないとばら撒かれ、北村さんのことを誰かに言うとばら撒かれる。
もう私のすることは一つしかない。
それが悔しくてギュッと力一杯手を握る。
「…栗丘さんがやることは簡単。
ただあのだんご虫と夕里を引き離せばいいだけ。
出来れば夕里を傷つけて欲しいの。
そしたらあたしが慰めてあげられるでしょ?」
引き離せたら、これは燃やしてあげる。
北村さんはプリントをたたんで、制服のポケットにいれた。
北村さんがどうしてそこまで李と芹田先輩を引き離したいのか、理解出来ない。
でも今は自分のことで手一杯になってる自分がいる。