だんご虫ヒーロー。



「…綾女ちゃん!」



教室の出入り口から綾女を呼ぶ声がしてそっちを向くと、そこに立っていたのはチャラ男2号先輩こと尾口先輩だった。



尾口先輩の姿を見た綾女が、とっさに顔を先輩から逸らしたのが分かった。



え、綾女……?



綾女の行動が気になって綾女を見つめると、尾口先輩がズカズカと私達の元へとやって来た。



綾女と尾口先輩を交互に見る。



そういえば綾女は夏に尾口先輩に告白されてる。



…!もしかして……!



「…先輩、綾女に無理やり何をしたんですか?」



両手を広げて、綾女を守るようにして前に立つ。



綾女があんな苦しそうな顔してるから、きっと先輩に無理やり何かされたんだ。



それしかない。



尾口先輩を睨む。
先輩は慌てて手を振った。



「それは誤解だよ、李ちゃん!
俺は無理やり女の子を自分のものにするほど、飢えてないから!」



それ、胸を張って大声で言っていいものなんですか?
飢えてないって、その言い方は十分に怪しいです。



しかも慌ててるところが余計に怪しい。



言ったセリフがまずいと感じたのか「ま、今は綾女ちゃん一筋だけどね!」と付け加えた。



先輩、苦しいですよ。


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