だんご虫ヒーロー。



「俺はただ最近綾女ちゃんがバイトに来ないから、心配で来たんだよ!」



え、綾女、最近バイトに来てないの…?



両手を広げたまま、綾女を見る。



綾女は眉間に皺を寄せて、下を向いている。



テストが終わってバイトが出来るってあんなに喜んでたのに。



「…どうして……?」



小声で綾女に問いかける。



すると綾女はいきなりイスから立ち上がって、尾口先輩を教室から押し出した。



「お、おい!綾女ちゃん!?なにすん……」



バンッ



尾口先輩が言いかけてたのに、綾女は教室の戸を思いっきり閉めた。



綾女はしばらく戸の前で立ち止まって、やがて席に戻ってきた。



はぁ、席について綾女は大きく息を吐いた。



「…綾女、尾口先輩の言ってたことってほんと?」



恐る恐る聞いてみたけど、綾女は下を向いたままで返事がない。



もしかして言いたくないこと、聞いちゃったかな?



そんなことを思っていたら、綾女は顔を上げて私を見た。


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