だんご虫ヒーロー。
あなたはいらない
【side 夕里】
階段を急いで下りて、李のクラスへと向かう。
放課後になる少し前、李からメールが来た。
『追試勉強でお世話になったので、何かおごります。
放課後、私の教室に来てください』
奢(おご)るのは男の仕事なのに。
分かってないな、李は。
でも李からメールが来たから、許してやるか。
李とメアドを交換してから、俺は毎日のように李にメールした。
でも返事は「チャラ男」とか「うるさいです」とかツンデレなことばかりで。
冷たい返信が返ってくるけど、李は必ず返事を返してくれた。
李も少しは俺からメールが来るのを、嬉しいって思ってくれてるのかな?
そんなことを思いながら、いつも李に返信をする。
航平は綾女ちゃんにメールしても無視されてるって言ってたからな。
ま、返事が返ってくるだけマシな方だな。
階段を下りると、李のクラスがある階へ辿り着く。
生徒が次々と帰宅する中、俺はその流れに逆らって李の教室を目指す。
「…ごめん、李。遅くなったね」
李の教室に辿り着き戸を開けると、李は席に座っていた。