だんご虫ヒーロー。
違う、李じゃない。
李よりも背が大きくて、どこか大人びている。
「……綾女…ちゃん?」
俺がそう名前を呼べば、李の席に座っている綾女ちゃんがこっちを向いてニコッと笑った。
おかしい。
俺は確かに李に呼び出されて、ここに来たはずなのに。
スマホのメールを確認する。
差出人はちゃんと李になってる。
俺の考えてることが分かったのか、綾女ちゃんはクスッと笑った。
「…李に抱きついた時に、これ借りちゃったんです」
綾女ちゃんはカーディガンのポケットからスマホを取り出した。
それはこの前メアドを交換した、李のスマホだった。
わざわざ李のスマホを使わないと俺を呼び出せないとでも思ったのかな。
別に綾女ちゃんに呼ばれてもいくのに。
「それで、綾女ちゃんは俺に何の用かな?」
なんだかここまで綾女ちゃんのペースに乗せられている気がして、俺はそれに流されないように話題を振る。
にしても綾女ちゃんが李のスマホを使ってまで、俺になんの話があるんだろう。