だんご虫ヒーロー。
綾女ちゃんは俺の返事が意外なものだったのか、少し目を見開いている。
この答えを聞きたかったんじゃなかったのか?
すると綾女ちゃんはふっと笑った。
でもそれはほんの一瞬で、すぐに表情は鋭くなった。
「…やっぱりそうなんですね……
じゃあ、李にもう近付かないでください」
何を言ってるんだ。
好きだから、もう近付いちゃいけない?
なんでそんなこと綾女ちゃんに決められなきゃいけないんだ?
好きだから、李が好きだからいつも傍にいた。
自分を犠牲にして人助けをする李を守りたくて傍にいた。
「…君の言ってる意味が……分からない」
言ってる意味は分かってるつもりなんだ。
でも頭がついていかない。
綾女ちゃんはイスから立ち上がって、机に寄りかかった。
「…あれ、分かりませんでした?
李のことが好きなら、李にもう近付かないでください。
そして李のこと諦めてくださいって言ったんです」
綾女ちゃんは真剣な鋭い目つきで俺を見つめる。
今まで見てきた綾女ちゃんとは全く別人。
目つきが、心が凍てついてるよう。