だんご虫ヒーロー。
いつも李に見せてるあの明るい綾女ちゃんじゃない。
「…どうして君がそんなこと言うんだ?」
負けないように目つきを少し鋭くして、綾女ちゃんを見る。
女性の前ではいつも笑顔でいるようにしているけど、今回は李のことだからヘラヘラしていられない。
俺にとって一番大切な李(ヒト)だから。
綾女ちゃんからしばらく返事が返ってこなかった。
結構遠くにいるからよく分からないけど、綾女ちゃんが握り締めた手は若干震えているように見える。
何かを躊躇ってるのか?
言いたくないけど、言わなければいけない。
綾女ちゃんからそんな想いが伝わってくる。
しばらくの沈黙の後、下を向いていた綾女ちゃんが真っ直ぐに俺を見た。
「……李には大切な人がいるんです。
李を影から守って、李にとっての生きる意味である人が」
……なんて言った?
大切な……人?
李の生きる意味になってる人がいる?
それって………