だんご虫ヒーロー。
今まで俺が李を守ってきたのも全部意味なかったってことか。
知っていたつもりでも知らなかったんだな、李のこと。
俺は約半年とちょっと、時間を無駄にしてたってことか?
約束から李を変えたのも、人助けに困ってた李を励ましたのも、李のために殴ろうとしたのも全て必要のなかったことなのか?
李を好きになって、俺に振り向いてもらおうと思ってた時から全て無意味だったのか。
…はっ、何してたんだ俺は。
全然泣けねぇ、むしろ笑えてくる。
自分では立っていられなくて、壁に寄りかかる。
「…もう俺は李を守らなくていいのか……」
守らなくていいのなら、もう李の近くにいる理由がない。
だから必然的に俺は、李の傍からいなくなるんだ。
「…もうこれ以上、李の幸せの邪魔しないでください……」
綾女ちゃんは震える声で言って、教室から出て行った。
ズルいな、綾女ちゃんは。
李の幸せなんて言われたら、俺が邪魔出来ないの分かってて、ああ言ったんだ。
もう李の傍にいられないのか……
俺が傍にいなくても、李は悲しんだり……するわけないよな。
だって李には守ってくれる"奴"がいるんだから……ーーーーーー
【side end】