だんご虫ヒーロー。



今まで俺が李を守ってきたのも全部意味なかったってことか。



知っていたつもりでも知らなかったんだな、李のこと。



俺は約半年とちょっと、時間を無駄にしてたってことか?



約束から李を変えたのも、人助けに困ってた李を励ましたのも、李のために殴ろうとしたのも全て必要のなかったことなのか?



李を好きになって、俺に振り向いてもらおうと思ってた時から全て無意味だったのか。



…はっ、何してたんだ俺は。



全然泣けねぇ、むしろ笑えてくる。



自分では立っていられなくて、壁に寄りかかる。



「…もう俺は李を守らなくていいのか……」



守らなくていいのなら、もう李の近くにいる理由がない。



だから必然的に俺は、李の傍からいなくなるんだ。



「…もうこれ以上、李の幸せの邪魔しないでください……」



綾女ちゃんは震える声で言って、教室から出て行った。



ズルいな、綾女ちゃんは。



李の幸せなんて言われたら、俺が邪魔出来ないの分かってて、ああ言ったんだ。



もう李の傍にいられないのか……



俺が傍にいなくても、李は悲しんだり……するわけないよな。



だって李には守ってくれる"奴"がいるんだから……ーーーーーー



【side end】


< 213 / 554 >

この作品をシェア

pagetop